栄養の日

8月4日は栄養の日

日本栄養士会は、全ての人びとの健康の保持・増進を実現するために、8月4日を「栄養の日」(8(エイト)と4(よん)で「えいよう」)、8月1日~7日を「栄養週間」に制定しました。

現代の日本では、65歳以上の高齢者のうち、約6人に1人が低栄養状態だといわれています。年齢を重ねると食事への関心が薄れ、食事を抜いたり毎日同じものを食べ続けたりと、食生活が乱れがちになってしまいます。その状態を長く続けることにより、健康を保つために必要な栄養が不足し、『低栄養』へ陥ってしまいます。特に近年では、ひとり暮らし高齢者の食生活の乱れが深刻化しています。

高齢者に多い『低栄養』

『低栄養』とは、食欲不振や咀嚼力・味覚が低下するなどのさまざまな理由から徐々に食事量が減り、健康な身体を維持するために必要なエネルギーや栄養が不足している状態のことをいいます。

特に、高齢者は知らず知らずのうちに低栄養状態に陥ってしまうリスクが高いとされています。

【高齢者が低栄養に陥る主な原因】

 ①栄養の偏り

・調理のために長時間立っていることが困難となり、調理済みの加工食品で済ませたり、麺類やお茶漬けなど簡単なもので済ませてしまう

・買い物に出かけても重い荷物を持つことが難しくなり、即席麺やパン類など軽量のものを購入しがちになる

 

 ②身体的・精神的な食欲不振

・加齢によって体のさまざまな機能(口腔機能、視覚、味覚、嗅覚、消化機能)が衰え、食欲が低下する

・孤独感、喪失体験などの精神的ストレスで食欲が低下する

 

 ③社会的な側面(孤立・貧困など)

・「スーパーが遠い」「物価高で物が買えない」など地理的または金銭的理由により、買い物の頻度が減ったり、日持ちしない生鮮食品の購入を避けることが増える

低栄養が引き起こす症状

低栄養のときによく見られる症状には、次のものがあります。

  • ・体重が減る
  • ・骨格筋の筋肉量や筋力が低下する
  • ・元気がない、疲れやすい
  • ・風邪などの感染症にかかりやすく、治りにくい
  • ・傷が治りにくい
  • ・下半身や腹部がむくみやすい
  • ・口の中が乾く
  • ・唾液がベタベタする

食事量が減ると、食事から摂取する水分量も同時に減ってしまいます。

特に高齢者は喉の渇きを感じる機能が衰えていたり、トイレの心配などから水分を十分に摂ることを避けたりするために、知らないうちに脱水状態を引き起こしている危険性があります。

さらに、低栄養状態が長く続くと、「フレイル(虚弱・脆弱な状態)」、「サルコペニア(筋力・筋肉量低下)」、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」、「寝たきり」につながることが知られており、高齢者にとって低栄養は様々な面から健康を害するリスクを高める問題の一つとも言えます。

低栄養と身体機能低下の悪循環を止めましょう

低栄養状態になると疲れやすくなるので、体をあまり動かさなくなります。
すると、さらに筋力は低下し、運動量の減少とともに食欲も落ちるという悪循環に陥ってしまいます。

低栄養予防の基本は、バランスよく必要な栄養を摂ることと、体を動かすこと。本人やご家族がこの基本を意識して、毎日行うことが大切です。

栄養面からの改善を考えるときにはまず食事を見直して、食べる量や回数、栄養バランスに気をつけましょう。

バランスを取るのが難しいときは、栄養補助食品などを上手に取り入れることもお勧めです。

また、外食の機会を作ったり、誰かと一緒に食事をしたりするなど、楽しさを見いだせるような工夫を取り入れるのも効果的です。

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<関連リンク>

おいしく食べて低栄養予防!(厚生労働省「集まろう!通いの場」ホームページ)

読む栄養補給ニュータス(公益社団法人 日本栄養士会ホームページ)