9月24~30日は結核予防週間
厚生労働省では、毎年9月24日~30日を「結核予防週間」と定め、結核に関する正しい知識の普及啓発を図ることとしています。
「結核は過去の病気」と思われている方も多いかと思います。
しかし、現在でも日本全国で年間約17,000人の新しい患者が発生し、年間で約2,300人が命を落としている国内最大級の感染症です。
世の中の結核への関心が低下していることや、患者の大半を占める高齢者では典型的な症状がないために発見が遅れることがあり、しばしば集団感染や予後不良につながっています。
早期発見・予防のために、結核について正しい知識を持つことが重要です。
結核とは?
結核とは、結核菌によって主に肺に炎症が起こる病気です。
結核菌はヒトの体の中でしか増えることができず、環境の中には存在しません。
重症の結核患者の咳などで結核菌が飛び散り、周りの人がそれを直接吸い込むことで感染します。
ただし、感染したからと言って必ず発病するとは限りません。
通常は体の抵抗力により追い出されたり、体内に菌が残ったとしても免疫により菌の増殖を抑えこむことができるため、感染しても発病するのは1~2割ほどと言われてます。
現在服用している薬や治療によって免疫力が低下している人、免疫力が弱い乳幼児や高齢者は発病しやすく、注意が必要です。
「感染」と「発病」の違い
「感染」とは、吸い込んだ結核菌が肺に定着した状態をいいます。感染が成立するまでに約2ヶ月かかると言われています。
体内に菌が存在しているものの、特に悪い影響を与えていない状態であり、人への感染性もありません。
しかし、菌を完全に殺すことはできず、結核菌は免疫によって抑え込まれたまま休眠状態となり、体内に生き続けます。人によってはこの状態のまま発病しないこともありますが、何らかの原因によって免疫力が低下すると、結核菌が増殖して発病に至るおそれがあります。
「発病」とは、結核菌が体内で菌が増殖して様々な組織を冒し、病気を引き起こした状態をいいます。
加齢や過労などで免疫力が弱まった時、体力が衰えた時などに発病しやすいと言われています。
症状が進行すると、咳や痰とともに結核菌が大量に空気中に吐き出されるようになり、他の人に感染させる可能性が高くなります。
感染初期(数ヶ月~2年)に発病する場合と、感染から長期間経過(2年~数十年)してから発病する場合があります。
結核の症状と治療
肺結核の症状は、 咳・痰、微熱、胸痛、体重減少、倦怠感など、風邪等の呼吸器系の病気の症状とよく似ています。
特に高齢者では結核を発症しても症状が軽症のまま経過することがあるため、気づいた時にはかなり進行していたり、命に関わるほど重症化してしまうこともあります。
「2週間以上咳や痰、微熱、倦怠感が続く」などの症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。
現在では、結核は早期に発見して治療すればほとんどが治る病気です。自分自身を守ることはもちろん、家族や友人などへの感染を防ぐためにも、早期発見・早期治療が重要です。
そして何よりも、規則正しい生活を心がけ、免疫力を下げないようにすることが結核の予防につながります。
栄養バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動、ストレスをため込まない、禁煙などで抵抗力を高めましょう。