全国糖尿病週間
毎年、11月14日を含む一週間を「全国糖尿病週間」として、全国各地で一般向けの講演会や健康相談、街頭での広報活動などが実施されています。
11月14日は、インスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日であり、2006年に国連はこの日を「世界糖尿病デー」として公式に認定しました。
世界糖尿病デーは、現在、世界160カ国から10億人以上が参加する世界でも有数な疾患啓発の日となっており、この日を中心に全世界で繰り広げられる糖尿病啓発キャンペーンは、糖尿病の予防や治療継続の重要性について多くの人に周知する重要な機会となっています。
糖尿病とは
日本における糖尿病の患者数は、疾患が強く疑われる予備軍を含め、約2,000万人に上ると言われています。
「糖尿病」とは、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気のことです。糖尿病は大きく2つに大別されます。
日本の糖尿病患者の90%以上が2型糖尿病と言われていますが、他の病気や薬の影響、妊娠がきっかけで生じる糖尿病もあります。
糖尿病の症状
血糖値が高い状態が進むと、「のどが渇く、水をたくさん飲む(多飲)」「トイレに行く回数が増える(頻尿)」「体重が減る」「吐く」「全身がだるい」といった症状が現れてきます。
ただし、2型糖尿病の場合は初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しずつ現れます。
さらに進行していくと、図のように様々な合併症を引き起こします。
日ごろから予防を心がけるとともに、気になる症状を感じたら早めに医療機関を受診し、早期発見・治療しましょう。
また、治療をはじめたら自己判断で中断しないことも大切です。
2型糖尿病を予防するために
2型糖尿病は体質(遺伝)、高カロリー食、高脂肪食、運動不足などが原因と考えられており、食事・運動・体重管理などの健康的な生活スタイルを維持することによって改善できます。
「糖尿病予備群」と指摘された人も、発症のリスクを下げるために生活習慣を見直してみましょう。
血糖値の値は「食事の量や質」「食事を摂る時間」「食事の摂り方」によって変わってきます。
食事時間が不規則だったり、食事を抜いたりすると、血糖値をコントロールするホルモンであるインスリンの働きが悪くなります。
1日3食、なるべく規則正しい食事を心がけ、ゆっくり時間をかけて食べるようにしましょう。
調理の際は薄味を意識し、野菜や海藻、キノコ類など食物繊維の豊富な食材を多く摂るよう努めます。マヨネーズやドレッシング、揚げ物など油の多いもの、甘いものや主食などの糖質はほどほどにしましょう。
運動は身体の中性脂肪を減らし、筋肉をつけることで基礎代謝量の多い身体をつくります。
さらに、インスリンの働きが良くなるので、血糖値が下がりやすくなります。
毎日継続できるように、ウォーキングのような「いつでも」「簡単に」できる運動がおすすめです。食後に軽いウォーキングを10~30分、少なくとも週3日を目標に続けてみましょう。
運動する時間がとれない人は、エスカレーターのかわりに階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす時間を増やす習慣を身につけましょう。
ただし、既に糖尿病と診断された人は、運動によって低血糖を起こす危険があるため、医師に相談してから運動を始めてください。
ストレスがかかると、コルチゾールやアドレナリンなど血糖値を上げる作用のあるホルモンが分泌されます。また、ストレス解消のため、食べ過ぎ・飲み過ぎになってしまうと、さらに血糖値が上がる恐れがあります。
心身の疲れを感じたら、疲れがひどくならないうちに休養をとり、回復に努めましょう。
睡眠不足も血糖値を上げる1つの要因となります。寝室の温度や湿度、照明などを調整し、できるだけ心地よく眠ることができるよう、環境を整えましょう。
タバコを吸うと、ニコチンが交感神経を刺激して、血糖値を上げる作用のあるホルモンが分泌されます。
さらに、タバコに含まれる有害物質の影響で、インスリンの働きが悪くなります。
2型糖尿病は1日の喫煙本数や喫煙年数の量に比例して発症しやすくなるため、禁煙を心がけましょう。
また、アルコールはアルコールそのものの作用やアルコールの代謝に伴って、血糖値に影響を与えます。
インスリンの分泌を低下させたり、食欲を亢進させる原因にもなるため、健康にお酒を楽しむには、摂取量を適量に抑えることが大切になります。
厚生労働省の指針では、節度ある適切な飲酒を
「1日平均・純アルコールで約20g程度」としています。
これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中瓶1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、焼酎は0.6合(100ml)、ワインはグラス2杯(180ml)、缶チューハイは1.5缶(520ml)となります。