日本人の4割が悩む「頭痛」
毎年2月22日は『頭痛の日』です。一般社団法人日本頭痛協会と日本頭痛学会が『頭痛のつらさと悩みを社会に啓発すること』を目的として、この日を制定しました。
頭痛は日常的に起こる症状であり、日本人の約4人に1人が慢性的な頭痛に悩まされているとも言われています。また、頭痛の原因やタイプはさまざまで、検査や治療法も変わってきます。
頭痛には、日常的に起こる「慢性頭痛」だけではなく、命に関わる病気が隠れている場合もあります。いつもの頭痛と放置していると、危険な頭痛を見逃してしまいかねません。
頭痛を予防するためのセルフケアや、頭痛が起こった時の対処法などを知っておきましょう。
「一次性頭痛」と「二次性頭痛」
頭痛は主に、他に原因となる疾患がなく頭痛そのものが病気である「一次性頭痛」と、脳や他の疾患・ケガなどが原因となって起きる「二次性頭痛」に分けられます。
①一次性頭痛
一次性頭痛とは、他にはっきりとした原因や疾患が見当たらない「頭痛そのものが病気」の頭痛です。
一次性頭痛の代表的なタイプとして「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があります。
これらの頭痛は命に関わるものではありませんが、慢性的に頭痛発作を繰り返すため日常生活に支障をきたしてしまいます。
片頭痛は、脳や脳の周囲の血管の拡張や炎症が起こり、その刺激が痛みとして伝わることで引き起こされる頭痛です。
発作が起こると、こめかみから目にかけて片側を中心に、ズキンズキンと脈打つような痛みを感じることが多いと言われています。
また、体を動かすと頭痛がひどくなるのが特徴で、吐き気を伴ったり、光や音・においに過敏になったりすることがあります。
<対策>
片頭痛が発生するきっかけはストレスや睡眠の過不足、女性ホルモンの変化、天候や気圧の変化、空腹、肩こり、アルコール、体質などの遺伝的要因など様々です。
片頭痛を予防するには、規則正しい生活を心がけ、疲れやストレスを感じたら早めに休息をとることが大切です。
・光や音などの刺激を避ける
・適切な睡眠時間を心がける(長すぎず、短すぎない)
・飲酒を控える
・痛みがない時は適度に運動する
など、取り組めることから始めてみましょう。
緊張型頭痛は、身体的・精神的ストレスなどの原因によって首や肩の筋肉が緊張して血流が悪くなることや、脳が痛みをうまく調節できなくなることで起こる頭痛です。
後頭部から首筋にかけて、重苦しい感じや締め付けられたような痛みを感じるものの、何とか動ける程度の痛みがあるのが特徴です。
緊張性頭痛は15歳以上の国民の実に22%が有しており、一次性頭痛の中でも50%以上の割合を占めると言われています。
<対策>
緊張性頭痛は、長時間同じ姿勢を続けることなどによって血行が悪くなり、首や肩まわり、頭部が緊張すると起こりやすくなります。
また、精神的なストレスなども関与していると言われています。
長時間デスクワークを続ける時などは、こまめに休憩し、気づいた時に首や肩のストレッチをするよう心掛けましょう。
また、マッサージや蒸しタオルなどで首・肩を温めて血行を促すことも効果的です。
群発頭痛は、眼の周りから前頭部・側頭部にかけて、じっとしていられないほどの激しい頭痛が数週間~数ヵ月間、ほぼ毎日同じ時間帯に起こることが特徴です。
また、頭痛が起きている側の目が充血したり、涙が出たり、鼻水が出たり、汗をかく(自律神経症状)などの症状が現れることもあります。
群発頭痛は20~40代の男性に多く見られ、喫煙や飲酒の習慣がある人もなりやすいと言われています。
<対策>
現在、群発頭痛の発症メカニズムは分かっておらず、明確な予防法も解明されていません。
ただ、群発頭痛の発生リスクを下げるにはアルコールの摂取量を減らすことが有効と言われています。
また、生活習慣の乱れや喫煙、過度の運動なども頭痛の発生リスクを上げる要因となります。
目の奥に激しい痛みを感じた時は自己判断に頼らず、早めに医療機関を受診しましょう。
②二次性頭痛
二次性頭痛とは、頭痛を引き起こす原因や疾患がある頭痛のことを言い、緊急性が高く、診断の遅れが命に関わることもあるため注意が必要です。
二次性頭痛の原因となる疾患は、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎・脳炎などが挙げられます。
これまでに経験がないほどの激しい頭痛、突然起こり短い時間で痛みがピークに達するような頭痛、頻度や痛みの程度が増していく頭痛、発熱や吐き気、手足の麻痺やしびれを伴うような場合は二次性頭痛が疑われるため、すぐに医療機関を受診しましょう。