健診・検診受けていますか?
皆さんは定期的に健診・検診を受けていますか?
健診・検診は、さまざまな病気の早期発見・早期治療のために必要不可欠です。
早期では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているという病気は少なくありません。
自分自身や家族のためにも、定期的な健診・検診を心がけましょう。
「健診」と「検診」
「けんしん」には「健診」と「検診」があり、どちらも健康状態を評価するために行われますが、それぞれ違いや目的があります。
健康状態を総合的に調べる検査。
生活習慣病や病気そのものを予防することが目的。
会社で行う「定期健診」や、メタボリックシンドロームに着目した「特定健診」、自治体が行う「住民健診」、人間ドックなどが該当する。
特定の病気を発見するために行う検査のことを指し、病気を早期発見し、早期治療につなげることが目的。
代表的なものでは各種がん検診があり、その他に歯科検診、骨粗しょう症検診、肝炎ウイルス検診などがある。
健診と特定健診
「健診(健康診断)」は職種に関係なく、雇用期間や労働時間など一定の条件を満たした全ての労働者が受診するもので、事業者に実施が義務付けられています。
雇入れ時または年1回(労働安全衛生規則で定められた特定の業務に従事する労働者に対しては年2回)定期的に受けることとされています。
また、有害な業務に従事したり、特定の物質を取り扱う労働者を対象とした「特殊健康診断」などもあります。
さらに、国民健康保険に加入する40歳~74歳の方に関しては「特定健診(特定健康診査)」が実施されており、生活習慣病の要因となるメタボリックシンドロームの予防・改善に取り組んでいます。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積により、糖代謝異常(糖尿病等)・脂質代謝異常(高脂血症等)・高血圧などの動脈硬化の危険因子となる生活習慣病が集積している状態をいいます。
これらの生活習慣病を放置していると、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気の発症・重症化につながる危険性があります。
そのリスクを早期に防ぐために、2008年4月より全国の自治体で特定健診が導入されました。
また、医師や保健師、管理栄養士などによって対象者一人ひとりに合わせた生活習慣の見直しを図る「特定保健指導」を併せて行うことで、生活習慣病の予防・改善につなげています。
他に、75歳以上の方が対象となる「後期高齢者健康診査」では、フレイルの状態も確認します。
加齢に伴う筋力や認知機能の低下に加え、動脈硬化や生活習慣病などの重症化によってフレイルが進行する要因にも繋がります。
高齢期をいきいきと過ごすためにも、年に1回は健診を受け、自分の健康状態をチェックしましょう。
「検診」で早期発見・早期治療を
検診の最大のメリットは、自覚症状がないうちに病気を早期発見し、早期治療につなげられることです。
代表的ながん検診には「対策型検診」と「任意型検診」があり、それぞれ目的や費用が異なります。
対策型検診は、市区町村が行う「住民検診」や職場などでおこなわれる「職域検診」を指し、集団全体のがんによる死亡率・罹患率を減少させることを目的としています。
厚生労働省では、基本条件(有効性が確立していること、メリットがデメリットを上回る*(下記参照)ことが証明されていること)を満たし、患者数が多く、且つ死亡率が高い5つのがん(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん)を対策型検診の対象としています。
対策型検診では公的な補助金が出るため、無料か少額の自己負担で受けられます。
一方で任意型検診は、医療機関などが提供し、個人が自分の死亡リスクを下げるために受けることを目的としています。
人間ドックなどが任意型検診に該当し、費用は基本的に自己負担となります。
対策型検診と任意型検診のどちらも、がんを見つけるために受けることはもちろんですが、がんが無いと正しく判断するために精度が高い検査を受けることが大切です。
検診の主なメリット・デメリット*
- 費用が安価
- 有効性が確立されている
- 早期発見・早期治療が可能
- がんが早期に発見された場合、経済的負担や治療にかかる時間が少なくて済む
- 検査方法によってはがんを見逃す可能性がある
- がんではないのに『がんの疑いあり』と判定される場合がある
- 検査が身体的に負担となる場合がある
- 生命に影響しないがんを検診で拾い上げてしまい、不必要な治療を受ける場合がある
定期的に健診・検診を受けましょう
『令和4年国民生活基礎調査』によると、20歳以上で過去1年間に健康診断を受診した割合は69.2%でした。また、厚生労働省が公表した令和4年度における特定健診の実施率は58.1%、特定保健指導の実施率に至っては26.5%と低い水準となっています。
健診や特定保健指導を受けなかった理由に「知らなかったから」「忙しいから」「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」「めんどうだから」などが挙げられており、健診の意義の啓発・普及を進めることが課題となっています。
さらに、日本国内でがんの罹患数が増えている一方で、がん検診の受診率は先進国の中でも低い水準にあります。
国立がん研究センターがん情報サービスの「院内がん登録全国集計」によると、令和5年にがん検診・健康診断などによりがんが発見された人は、がん患者の15.0%に上ることが報告されています。
がんの5年生存率は、がんの進行度や部位、ステージによって異なりますが、早期発見で治療すれば高い確率で治癒が期待できます。
健診・検診で自分の体の状態を定期的にチェックし、再検査や精密検査が必要と判定されたときは、必ず再度検査を受けましょう。
また、前年の健診結果と比較して数値が悪化した項目などをチェックし、毎日の健康維持に役立てましょう。